エッセイ

クリスマスディナーの思い出

私がクリスマスと聞いて思い出すのは、主人と結婚する前のクリスマスディナーです。結婚する前の年に、私たちは遠距離恋愛をしていました。恋人として最後のクリスマスだし、数カ月ぶりに会うのだから、きっと彼は素敵でスペシャルなクリスマスディナーを用意してくれていると期待して私は彼に会いに行きました。

ところが、彼が連れて行ってくれたのは、いつも行くセルフのうどん屋さん。私はかなりガッカリしました。一言文句を言ってやろうと、釜揚げうどんをすする彼に声を掛けました。すると、彼がとても幸せそうにうどんを食べながら「来年からはずっと一緒だね」と言いました。その笑顔と、釜揚げうどんの湯気で頬が真っ赤の彼を見たら、文句もどこかに消えてしまいました。特別なことをしなくても、今ここに大好きな人とおいしいものをおいしく食べられる幸せがあることに気づかされました。この幸せは、地味なので時々見失いそうになります。誰かと比べてしまう時、華やかなSNSを見てうらやましくなった時、私はこのクリスマスディナーを思い出します。そうすると、今ここに幸せはあるんだよな~と改めて気づかされます。私にとって「幸せとは」を教えてくれたとても大切な、恋人最後のクリスマスディナーでした。

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ここいま
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