とりあえず
君の目から流れた涙の形を
僕の左頬に描こう
そして僕は踊りはじめる
君の目に僕が映ってることを 確認しながら
いろんなことがあったよね
言葉にできないことがあったよね
だから 君は泣いた
泣きたくても 泣ける場所は
お風呂の中だけだった
君の涙は
あたたかいお風呂の中に沈んでいくのだけど
落ちた瞬間に 涙だかお湯だか分からなくなって
余計 悲しくなって
君はたくさん 泣いたんだね
でも大丈夫 大丈夫だよ
今日は 僕がそばにいて
ちょっと面白いことをやってみせるから
そこの椅子に座ってさ 笑いながら 泣いていいよ
とりあえず
右手を高く突き上げて
そこから 人差し指を立てて
くるくると 指をまわしてみた
腕をあちこちに動かしながら
目をパチパチ瞬きして そして君を見た
君の涙が空に昇って 小さな小さな雲になり
ひとときの雨を降らせたなら
滴(しずく)に気づいた黄色い花が
そっと一輪 咲きほころぶ
君は喜ぶかな 君の流した涙が
黄色い花を咲かせたよ そう言っても
きっと君は信じてくれないから
僕は君のために
踊り続ける 踊り続けて
君がこそっとあくびをしたのなら
それでは、この辺りでおひらきね、
僕はウィンクしてさよならする
踊れ 道化師
僕の生きる道はここにある
明日は明日で どこかの場所で
流れた涙の形を 左頬に描き
とんがった靴の先を トントンとならしてから
踊りはじめる それだけさ
踊れ 道化師
僕の生きる道はここにある
この惑星(ほし)から涙が途絶えないと分かっても
踊れば 涙が消えるんじゃないかと信じてる
明日は明日で どこかの場所で
ヘンテコな帽子を 斜めにかぶりなおしてから
踊りはじめる それだけさ
僕は道化師 それだけなのさ