癒しの詩(朗読フリー)

天井

天井を見ていた

真っ白い天井が明るく輝いていく

朝がきたんだ

 

天井を見ていた

何時かもわからない わからなくていい

だって わたしは この部屋にいることしかできないから

 

やりたいことがたくさんあった

行きたいところがたくさんあった

でも 鉛のように重い身体と

それよりも重い心が

ベッドからわたしを解放しない

 

解放されたくない

 

わたしはこわいんだ

もう 外に出るのも

人と話すのも

全てを失敗するんじゃないかって

それならこのベッドに縛りつけられていた方が きっといい

 

天井を見ていた

真っ白だった天井が薄くグレーに染まっていく

夕方がきたんだ

 

夜は静かで好きだ

みんなが寝静まった頃

わたしはそっとベッドを出て

壁にもたれかかる

 

いつまで続くか 分からないけど

この生活でも なんでも

息をしていればいいと思った

 

天井を見ていれば

息をしていれば

いつかきっと いつかきっと

この体は軽くなり

この心も軽くなり

天井ではなく 空を見上げるような

そんな日が来ると

 

朝日がまた のぼってきそうになったので

わたしはそっとベッドにもぐり また

天井を見ていた

 

 

 

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ここいま
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