ブログ(朗読不可)

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった③

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった①

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった②

本当に、明日から1か月休んでいいの?

2018年11月30日。

穏やかな晴れの日だったように記憶している、まるで春のような。

医師からの診断書を手にした私は、直属の上司と人事部長との3者面談を終え、とりあえず1か月の休職が決定した。家に帰り、ベッドに入り込むと温かい毛布に包まれた安心感からかスッと眠りについた。

起きてみると、20時を過ぎていた。一瞬、焦る。こんな時間に目覚めて夜眠れるだろうか?でも、明日からは仕事に行かなくていいことを思い出す。不安なので、昼間のやり取りを反芻する。

この半年間、軽微ながらも原因不明の体調不良、朝起きられない、頭がすっきりしない毎日を過ごしてきた。一方で、そうあるべきだと思っていた。社会人というものは、胃薬を飲んで、頭痛薬を飲んででも仕事をしなくちゃいけない。頭痛が酷いからと鎮痛剤をラムネのように飲んでいた先輩を思い出す。先輩なら、私の今の状況を嘲笑するかな。

情けない私、休職をキャンセルしたくなる

私はたった半年でギブアップした。情けない。きっと会社でもそう言われているだろう。情けないし悔しいし、今からなら休職をキャンセルできるかな、とか一瞬考えた。しんどいのは嘘で、私は元気ですって。

でも、正直、今はこの部屋から出たくないし、ベッドから出たくない。まぁ休職期間は1か月だし、とりあえず今日と明日は寝よう。そして明後日からは、読み切れていない仕事関連の書籍を読んで勉強するんだ、1か月後にかっこよく復帰するために。

そう思いなおすと、私は小さな冷蔵庫を開け、キオスクで買ったおにぎりとカフェオレを取り出した。いつもルーティンで買う鮭のおにぎりと私が学生の頃から変わらないデザインのカフェオレ。

無意識に買ったカフェオレ

このカフェオレは、仕事で行き詰った時によく飲んでいた。いつも買うから無意識に買ったようだ。何を買ったかも、よく覚えていなかった。このカフェオレをオフィスで飲む私は、自分で言うのも照れくさいけど、大好きだったな、カッコよかったな。紙パックに入ったそれは、飲んだ後きちんとたたんでゴミ箱に捨てていた、それを見た同僚に「きちんとしてるねー」って褒められてうれしかった。そんなふうに私のことを気にかけてくれていた彼女にも休職のこと言えていない…。

 

やり残したことだらけだ、仕事も、私に関わってくれた人への挨拶もしないまま。

でも大丈夫、1か月休むだけ…

頭が混乱してきたので、味のしない米を固めたものを口に入れて、カフェオレは冷蔵庫にしまった。カーテンは閉めた。

ずっと、夜が明けなければいいな、と思いながらぬくもりの残るベッドに入る。1時間前に起きたばかりなのに、不思議なことに私は再び睡魔に襲われて眠りに落ちた。

続く

 

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