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ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった②

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった① はこちらから

生まれて初めての診断書を手にする

「とりあえず、1か月休みましょう。」医師からそう告げられた。

診断書をもらう。紙1枚で2000円くらいした気がする。現金を持っててよかったけど、

正直、高いなと感じた。同時にこの紙1枚で会社員を休ませることができるお医者さんってすごいなーと思った。待合室に患者さんからであろう手作りの飾り物や折り紙が飾ってあるのを見て、少しだけ気が和らいだ。

駅のホームでスマホを取り出し、上司に連絡する。2コールくらいで上司が出た。私からの連絡をきっと待っていたんだろう。

その日は、受診後出勤するつもりだったけど、手短に状況を話し診断書のことも報告すると、上司は色々と悟ったのだろう。人事部長と3人で話そうと、待っていると言った。

食事を摂ったかどうか憶えていないが、

オフィスに向かう電車に乗った時、

しばらくはオフィスに向かうこの電車に乗ることもないのかと、振動を心地よく感じた。平日の昼間、電車にはスーツを着た人がちらほら。通勤時のラッシュとは違う、のんびりした雰囲気。時間が違うとこんなに空気って変わるんだ、と少し戸惑った。

ボスと人事部長の3者面談

会社に着くと、口をまっすぐに結んだ上司と、

いつも笑顔の人事部長がその時も笑顔で待っていて、奥の会議室に通された。

診断書を見せて、とりあえず1か月休ませてほしいと伝えた。正直自分のことなのによく状況が分かっていないかもしれない、と本音も伝えた。

 

それを聞いた人事部長は、

これまで頑張ったのだから、ゆっくり休めばいい、

何なら旅行するとか…と

いつもの明るい雰囲気で話してくださった。

途中、旅のプランが具体的過ぎて、これ、部長が今旅したいプランだなとすぐに分かった。

私としては人生初の心療内科受診、診断書を手にして、しかも人事部長と上司との面談なのでとても緊張しているのに、自分が行きたい南国の話をしていることがシュールだった。

一方で、その話を聞きながら、休職中に遊んでもいいのか、と不思議な気分になったし、対応になれている様子を見ると、休職って人事部的にはあるあるなことなのかなとも思った。

直属の上司は、やけに笑顔だった気がする。

分かりやすい作り笑いの。

尊敬するボスへ

メンタルを病むということは、

人間関係で何かあったのだろう、とか

パワハラ、セクハラとイコールで捉えられがちだが

私はボスを尊敬していた。

ボスの仕事の進め方、仕事の考え方、

会議でイニシアチブを取る立ち居振る舞いの上手さ。

私にはないものをたくさん持っていて

彼のスキルを全て吸収したいと、いつも姿を目で追っていた。

 

いつか機会があるなら、また、ボスと仕事したい。

休職って何をしたらいいの?何をしたらダメなの?

電車の心地よい振動に身を預けて、面談の内容を振り返る。

休職中って、遊んでいいのだろうか?

休職って、楽しんだらダメなんじゃないのか?家から出ていいの?

周囲に休職経験者がいないので、分からない。

誰かに聞いておけばよかったが、当時の私は、周囲に責められていると勘違いしていたので

誰にも相談することができなかった。さぁ困ったぞ。

やらなきゃいけないことは、たしか、2週間に1度の人事部とのメールのやり取りくらい。

平日の明るいうちに帰宅した罪悪感と、

明日からしばらく仕事を休める安堵感で身体がフワフワした。

化粧を落とし、パジャマに着替えると

ベッドにもぐりこんだ。

今夜の食事も、明日からの過ごし方も、

ましてや、今まで築いてきたキャリアがどうなるかも。

この時は何にも考えられずに目を閉じた。

毎晩、眠れなくて辛かったのに、この時は一瞬で記憶が遠のいた。

2018年11月30日。私の休職が決まった日。

この日から私は3か月間、1日20時間の睡眠生活に突入することになる。

続く

 

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