ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方がわからなくなった⑤

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった①

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった②

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった③

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方がわからなくなった④

YouTubeにハマる

自分が責められているような気がして、テレビを見ることができなくなってから、はまったものがある。YouTubeだ。それまで忙しくて、YouTubeを見ることもなかった。たまたま何かを検索した時に、YouTubeの動画を見つけて視聴してみたら面白くて、アプリをインストールした。

こんなに面白い世界があったのかとびっくりした。知りたい情報が必ずある。精神疾患の専門家が、動画で解説しているものを見たり、メイク動画を見たり、その日ふっと思い浮かんだワードを検索してみたり。

私はYouTubeの虜になった。

毎日見ていたYouTuberがいる。今や登録者1120万人を超えるHIKAKINさんだ。HIKAKINさんの動画は、お人柄もあってか優しい言葉を使っているし、謎の安心感があった。昔の動画から順番に見た。

HIKAKINさんはもともとビートボックスをYouTubeにあげていた。そのうちの1曲にとても引き込まれた。繰り返し視聴した。時には一緒に歌った。感動の涙を流した。何かに打ち込んで、それを楽しんで、工夫している姿。とてもかっこいいと思った。私もまたそうなりたいと思った。

この歌声は、何度聞いたか分からない。今でも勇気を貰っています。

 

HIKAKINさんに会いに行く

2019年の夏。体力も少しずつ回復してきた私は、生のHIKAKINさんが見たいと思った。イベント情報を調べてみると、東京でイベントに参加されることがわかった。バスと電車とを乗り継いで行く初めての場所。目的地にたどり着けるかどうか心配だったが、私はそのイベントのチケットを予約した。

朝早くに起きるのは不安だったので、深夜の高速バスを利用した。バスは一晩かけて新宿に着いた。早朝にもかかわらず、たくさんの人たちが行き交っていた。人に酔いそうでクラクラしたが、絶対にHIKAKINさんに会うんだという一心で最寄りの駅まで向かった。

無事会場に着いた。2時間ほどあるイベントの中で、HIKAKINさんが出演するのはたった10分。お兄さんのセイキンさんと出演される。とてもワクワクした。そしてついにHIKAKINさんの登場だ。動画で見たことのある真っ赤な衣装を身にまとい、ステージ上に現れた。あらゆる方向に向かってお辞儀をしていた。その表情は、カリスマ性とは程遠い、穏やかな笑顔のお兄ちゃんだった。

曲が始まると、アーティストの顔になった。歌は普通に上手かった!動画で見たHIKAKINさんそのままだった。私は半年ぶりくらいに全身を動かしてHIKAKINさんにアピールした。私はここにいますよー!目は合わなかったけれど、今日この日この時に、同じ場所で同じ空気を感じている。とても感動した。

休職中に初めての遠出を成功させた。これは大きな成功体験となった。何もなければ、深夜バスに乗って東京に来ることもなかった。私でもやればできるんだという、成功体験を作ってくれたHIKAKINさんには感謝している。今でも大ファンだ。

やりたいことをやる毎日

この一件があってから、自分が行きたいと思ったところに行くようになったし、自分が何をしたいのか自分は何を食べたいのか、自分の心に問うようになった。もちろん休職前のようにどんどんとアグレッシブに動けるわけではない。刺激に疲れ人混みに疲れ、半日でも外出したら翌日はベッドから動けない。それでも、様々なものやことに欲が出てきたことは、とても嬉しかったし、これまで頑張ったのだから何でも叶えてあげたいと思った。

1日1か所お寺や神社をめぐる、日帰り京都旅行や、前から気になっていたコスメの爆買い。着ていくあては当分ないけど、古着屋さんでステキなワンピースを買う。

休職中だと知らない人から見たら、アグレッシブに毎日を楽しんでいる人に見えただろう。活動中は普通にやり取りをしていたと思うが、実際はまわらない頭をフル回転させて、会話をしたり、購入するモノを選んでいる。なので、外出したら翌日、酷い時は翌々日まで寝込んでいた。

リワークプログラム、どうする?

そんなある日会社からメールが届いた。

リワークプログラムを受けてみませんか?

リワークプログラム?初めて聞く言葉を私はパソコンで調べた。

精神疾患を原因として休職している人々に対し、職場復帰に向けたリハビリテーションをいう。。で仕事をしているかのような体験ができる。毎朝決まった時間に施設に行き、パソコン作業や、読書や、課題をこなしたり、認知行動療法や精神疾患の種類などの勉強をしたりする。

このことを会社が私に提案してきたということは、客観的に見て私が復職に近いと見えたのだろうか?ワクワクしてきた。心療内科の先生に相談することを忘れ、私は会社にリワークプログラムに参加したい旨のメールを送った。

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった⑥

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