ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった①

女性管理職を増やす、

そんなニュースが毎日報道され、それをぼーっと見ていたら

ある日、当時勤務していた会社にも「女性」「管理職」という話が出るようになった。

アラサーに近づいた私は、時が来た、とほくそ笑んだ。

この時を狙って準備していたのだ。

 

出世のためのアピール

子供の頃から勝気な性格の私は、目立ちたがりの性格でもあった。

その他大勢のひとりではなく、役職が欲しいと思っていたし

人と違う仕事がしたいと思っていた。

それを認めてもらうための努力、アピールを惜しまずしてきたつもりだけど

男性社会の業界で、女性管理職になるのは難しいかなと思っていた。

 

30歳を過ぎたころから、するするっと出世した。

それはチームの中での部門担当から始まり

社内試験を受けて、主任、すぐに課長に。

給料も上がった。有頂天になった。

結果を求められるプレッシャーや周囲からの嫉妬もあったので、

買い物でストレスの発散をした。

出世の前触れ、匂い

ある時、私の周りがなんとなく匂いだした。

そろそろ、また昇進かな。

異動がある時って、独特の空気をまとった人が

仕事観とか今後の目標とか

さりげなく、分かりやすく、色々と聞いてくるから

私は慎重に、大胆に自己アピールをした。

 

期待以上の出世、異動が決まった。

あの頃の私は、最高に調子に乗っていた。

 

4月1日、新しいオフィスで仕事を始めた。やっと来た、と

この地域で一番新しいビルから見える景色を眺めて、達成感を感じた。

私は仕事に没頭した。

そのうちに、仕事に忙殺され、振り回されるようになった。

軽微な体調不良が常に出るようになった。

身体のサイン、心ない言葉

夜はお酒をたくさん飲んだ、酔わなかった。

悲しくないのに、涙が出るようになって、

食べ物の味がしなくなって、

それでもここまで上り詰めた仕事を手放したくなかった。

 

出世を、給料を手放したくなかった。

それよりも、私は仕事が好きだったし、

自分のしていることが、本気で社会の価値観を変えられると思っていた。

私は鉛のように重たい身体を、毎朝ベッドから引っぺがし、

始業時間をとっくに過ぎた時計の針を眺めてから職場に向かった。

 

ある日、ついに身体と心がもうだめだ、と言ってきた。

たくさんの声が聞こえてきたのだ。

あの人のメール、全然要領を得ないんだよね…

何言ってるか、分からないし…

女性というだけで管理職になったもんだから…

経験不足…

○○さんならもっと頼りになる…

あの人に言っても、何にも変わらないよ…

 

私を苦しめた心ない言葉の正体

私は頑張ったけど、力不足だったのか。

社会の価値観を変える素晴らしい企業だから、私はその邪魔をしてはいけない。

そう思い、1か月の休職願を提出した。

 

私に聞こえてきた声、

後で気づいたのだけど、

自分の心の中から聞こえていて

実際には自分以外の誰も、そんなことはなにひとつ言っていなかった。

あの時、私は自分で自分自身を追い詰めて、

勝手に息苦しくなって、誰にも相談せず

殻に閉じこもっていた。

全てに気づくのは、数年後のこと。

②に続く

ハイヒールで竹馬に乗ったら降り方が分からなくなった②

 

 

 

 

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