踏切で 足をとめ
電車が右からくるのか
左からくるのか 待っていた
雪が降りそうな 雲
白とグレイの混じった 分厚い雲が途切れたとき
真昼の白い月が見えた
真昼の白い月が動いていた
動いていると思ったら
月を取り巻く雲が 動いていた
月が 雲に巻かれて
緊張していた
空の青と 月の境目が
くっきりしていた
緊張していた
電車が右からこようが
左からこようが
分からないままに 踏切は音を鳴らすのをやめ
道を明け渡し
人はそれぞれの方向に歩き出すが
白い月は 動かず
緊張していた