stand.fm朗読フリー作品

自分と握手する

自分がどんな人間か知りたくて

わたしの右手と わたしの左手を握手した

 

湯船の中であたたまった両手をぐっと 握りしめた

私の手って どんなふうに伝わるのか 分からない

どんなにずっと握っても

私の手から 何があふれているのか 分からない

 

あの人の手は 柔らかかった

あの人の手は しわしわで深みがあった

あの人の手は 弾力があった

 

 

ぽちゃん ぽちゃん

私の手 湯船の中で どれだけ強く長く にぎっても

結局分からなかった

一番そばにいる わたしのことが 一番見えないんだよね

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ここいま
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