16時13分。
梅田駅前、土曜日の交差点は白線を意図して踏む余裕もない。
女は青信号を歩き始めた。ファストファッションで買った、今年のトートバッグは割と気に入っている。右肩に掛けて歩き始めたものの、2本のうち1本がずり落ちてしまった。女はトートバッグのひもを肩に掛けなおして、また歩みを速めた。
2,3歩歩いたところで、また紐が下がってしまった。女は歩みを少し緩めて、紐を肩に掛けなおす。そして、歩みを速めた。
2,3歩歩いたところで、また…
(まじでこのなで肩、どうにかならんの?)
生まれて約30年。この肩しか知らないので、何が普通かは分からないが、さすがにトートバッグの紐が肩からズレ落ちすぎるだろう。私は残りの人生、あと何回トートバッグの紐を肩に掛けなおせば良いんだろう?トートバッグだけじゃない、ブラジャーの紐も、買ってすぐに肩から外れるし、今だってキャミソールも両肩の紐が下がっている。
これまでに、肩から下がった何かを元に戻す時間を計算したら、どのくらいになるだろうか?カレーくらいは作れるか?いや、煮込みハンバーグ?なで肩でない人がカレーや煮込みハンバーグを作って食べておいしいねー!とか言ってる間、私はずっと肩から落ちた何かを掛けなおしているのか?
そんな人生、嫌すぎるだろう。
…ここまで書いてオチがつかなかったので、今日はここまでにします…。
(この物語はフィクションです)