ずっと気になっていた化粧品を購入した。
化粧の仕上げに顔に吹き付けて、肌の保湿をしたり、顔全体にツヤを出すスプレーだ。
「セッティングスプレー」と呼ばれるものだが、
はっきり言って、メイクに必需品ではない。
保湿は、基礎化粧品ですればいいし、
顔にツヤがあったところで、何の役に立つのか?
見る人が見たら「顔がてかっている」と指摘されそうだ。
なのに、私はセッティングスプレーを購入した。
ー販売員は清潔感が命。
長年、そう信じて清潔感のある身だしなみを徹底してきた。
髪はひとつにまとめ、ヘアスプレーでかっちりと固める。
化粧は、ナチュラルメイク。
爪は白い部分が見えてくる前に、カット。
徹底して清潔感のあるお手本のような販売員像を演じてきた。
ーなのに、いまひとつ、突き抜けられない。
仕事に対して、大きくて分厚くて、透明な壁に阻まれている気がしている、ずっと。
今、この見えない壁を登るのか、壊すのか、回避するのか、模索している。
壁の先にある、景色を見たい。
そのために、今まで当たり前だと思ってきたことを
ひとつひとつ、疑問を持ってみることにした。
今回、顔に出すセッティングスプレーを購入したのも
わたし自身の見た目を、自分の好きなテイストに変えてみようと思ったから。
清潔感を保ちつつ、無難なイメージを変えたい。
見た目はそう変わらないけど、顔にツヤがあって
輝いている、自信がある、余裕がある、そんなイメージ。
お客様のいうことだけを聞く「御用伺い」ではなく
「この人から買いたい」という憧れに似た感情を
持っていただけるような販売員になりたい。
メイクにツヤがある。
これは、私の好きなメイクテイストで、
でも、販売員は黒子と呼ばれた時代からの名残で
目立っちゃいけないと思っていたこれまでの当たり前を壊す
ファーストステップ。
ずっと気になっていた化粧品が3日後に届く。
ささやかなバージョンアップは
お客様に気づかれないかもしれない。
だけど、私にとっては大好きなメイクのテイストを仕事に導入する
新しい挑戦。
販売の仕事に就いて15年以上になるのに
より良い販売員になるために試行錯誤したり、
新しい挑戦をし続けていることが、とても楽しい。
楽しい先にある私の未来に
とても期待している。