癒しの詩(朗読フリー)

ピンクのセーター

日曜日の昼下がり 

家族づれであふれるショッピングセンター

わたしはひとり 下を向いて歩いた

そしたらきれいな服を着た

アパレルショップの店員さんに声をかけられた

 

「そちら新商品です、お似合いになりそう。色白だから。」

「じゃ 買います」と言ってわたしは薄いピンクのセーターを買った

 

少し 通路を歩くとまた 別のアパレルショップの店員さんに声をかけられた

「このトーンは、今年の流行色ですよ、とても似合いそう」

「じゃ 買います」と言ってわたしは濃いピンクのセーターを買った

 

2階にエスカレーターで上がった

いつもなら入らないテイストのショップの店員さんと目が合った

「かわいらしい雰囲気なので、このセーター似合いそうですね」

「じゃ 買います」と言ってわたしはラメ入りのピンクのセーターを買った

 

紙袋いっぱいのわたしはくたくた 家に帰りどさっと

床に座り 紙袋の中のセーターたちを広げた

全部 ピンクのセーターだった

 

わたしは 情けなくなって 泣いた

店員さんに褒められたくて 買った

店員さんとしゃべりたくて 買った

選ぶ 断る ができなかった

同じようなピンクのセーターを3着抱きしめて

わたしは ほろほろと 泣いた

 

いつからこういうふうになったんだろうと 

セーターを抱きしめて ほろほろと 泣いた

 

 

 

 

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ここいま
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