おかあさん、おかあさん
幼稚園のとき 妹たちを寝かしつけるお母さんの背中を見ながら
私は眠った
おかあさん、おかあさん
妹たちが歩けるようになったら おかあさんは妹たちの手をつなぐので
長女の私は 3人の背中をみながら 歩いた
たまに手をつなぐと お母さんの手はかさかさで
子どもを育てるって 大変なのかなと
子どもの私は心配した
おかあさん、おかあさん
元旦の夜 おかあさんにだけ 秘密を話したの
久しぶりに あのね、聞いて って言った
大人になっても おかあさんに褒めてもらいたかったんだね
話を聞くと おかあさんは あなたの人生だから何でもいいと言い
自分の趣味の話を始めた
おかあさんは とっくに子離れしていたんだね
私だけ
おかあさん、おかあさんと
心は 5歳のあの時のまま
おいしい料理や 失敗したお菓子や
寝ながら縫ってくれた お道具袋
全部 憶えている
おかあさん、おかあさん
きっと私は おばあちゃんになっても
おかあさん、おかあさん
あのね、聞いて