これまでの人生で最も美しかった桜は
私の小学校入学式に見た桜
母と手を繋いで門をくぐる
大きめの制服を着た私
母は見慣れないスーツを着ていたので
今日はいつもと違う日なんだと思った
祖父母と選んだランドセルには
何を入れるのか分からなかったが
担任はおばあちゃんに似ていたので
優しく教えてくれるかなと安心した
母の同級生だという人が
あの桜の下で、と言うので
私と母と2人で写真を撮ってもらった
私にもどうきゅうせいができるかな、と言うと
すぐにできるよと母が笑った
桜は 私の身長より遥か高い所で咲き
花弁の輪郭など分からない
霞んだ空の下 風と共に桜が駆けていく
今日は 今年1番の桜日和と大人が交わした後
微笑んで 子どもらにおめでとうと言った
誕生日ではないのにおめでたいのなら
今日はみんなにとって良い日なんだと思った
手を伸ばしても到底届かない桜を眺めたあの日
花弁の輪郭と同じように
思い出はぼやけていくけれど
あの日眺めた桜は これまでの人生で最も美しかった
桜咲く丘
子どもの歓声と大人の笑顔がこだまする
今でも桜を見ると泣きたくなるのは
私 この思い出があるからだと思うんです