自分がどんな人間か知りたくて
わたしの右手と わたしの左手を握手した
湯船の中であたたまった両手をぐっと 握りしめた
私の手って どんなふうに伝わるのか 分からない
どんなにずっと握っても
私の手から 何があふれているのか 分からない
あの人の手は 柔らかかった
あの人の手は しわしわで深みがあった
あの人の手は 弾力があった
ぽちゃん ぽちゃん
私の手 湯船の中で どれだけ強く長く にぎっても
結局分からなかった
一番そばにいる わたしのことが 一番見えないんだよね